3.11から11.3へ

一夜明けて僕の気持ちもだいぶ落ち着いてきた。


津波の経験は特別かもしれないけれど、地震の揺れやインフラの停止、食料を分け合いながら過ごした時間は、仙台市民100万人の共通体験だ。
また、あれだけの人数が亡くなると、どんなに被害から遠い関係でいようとしても、「亡くなったのは友人の家族」くらいの近い関係になってしまう。

スタンドでもパブリックビューイングでも、商店街でも、顔を手で覆って泣いている姿が多く見られた。
優勝の瞬間、仙台の夜が歓喜だけではない複雑な感情に包まれたのは想像してもらえると思う。
 
「11.3」

気づかなかったけれど、よくもまあ数字まで演出してくれたものだ。
3年かけて、いろいろなことが全てここに収束してくるのかと思うと本当に感激してしまう。

全てを震災に結びつけることにそろそろ嫌気を感じる人もいるかもしれないけれど、やはりそうはいかないのだと感じさせる数字である。




「打たれる前に替えた星野監督と、打たれてから替えた原監督」

とくに第5戦がそうだった。(一球速報あり)

楽天が先発内海から3回に2点を奪い先制する。
 5回2アウト、ランナー1塁で内海に打順がまわって、そのまま打席に立つ。
 
確か広島とのCSでは、内海に早い段階で代打を送っていた。

この采配を見た時、「こんな戦法は巨人にしかできない。どうだ、見たか」と言われているようだった。
出てくる投手がことごとく大柄で力があり、広島の小柄なバッターとの対比が象徴的だった。
巨人にしかできない継投であり、巨人が他球団に対してできる最大の圧力だ。

楽天も広島と同様、先発が厚くて後ろが薄いチームである。

 どうして楽天戦でそれをしなかったのかはわからない。
原監督は最後まで、打たれてから替える、というレギュラーシーズン仕様の采配だった。

辛島が1安打でも則本に、160球でも田中、怪我をしても藤田を走らせる、という星野采配は、画面を通しても強いメッセージが感じられた。
お前には何をしてもらいたい、何を期待している、といういのがはっきりと伝わってきた。

巨人の選手がどこか迷いながらプレーをしていたのは、嶋のリードのせいだけじゃなかったと思う。




それでもまあ、正直な話、僕はシリーズが始まる前は楽天が圧勝すると思っていた。
今のセパの状況の差を見れば、巨人は田中則本はまず打てないと思っていたし、菅野はちょっと特殊だとしても、内海や杉内のような投手はパリーグのレギュラーシーズンでもよく打っていた。
安打数、打率だけ見れば実際そうなのだ。
ここまで競ること自体が、巨人の持つ圧力だと思い知らされたシリーズでもあった。

コメント